The JamのGoing Undergroundの和訳をした。The Jamが公式にあげている動画についている歌詞を訳したが、多分これが正しい歌詞だと思う。
この曲のミュージック・クリップには印象的なものが映り込んでいる。冒頭からまずアンクルサムの米軍徴兵ポスター、アメリカとソビエトが直接対話するために使われていたとされる赤電話、そして(進軍?)ラッパ、アンクルサムの元ネタであるキッチナーのイギリス陸軍徴兵ポスターが映し出される。そこから"To buy nuclear textbooks for atomic crimes"という歌詞が歌われている場面で、1945年アメリカ合衆国で行われた人類最初の核実験であるトリニティ実験の映像が流れる。"You'll see kidney machines replaced by rockets and guns"という歌詞が歌われる場面では、イギリスの歴代首相達の顔写真が登場する。順番にクレメント・アトリー、ハロルド・マクミラン,アレック・ダグラス=ヒューム,エドワード・ヒース,ハロルド・ウィルソンと映し出されていく。大トリにこの曲が発表された1980年に英国首相だったマーガレット・サッチャーの顔写真が登場する。そして彼らの写真がひとまとめに映し出されるとその写真がフレームインしてきた誰かの手によって乱暴に退けられる。曲の終わりには1957年アメリカのネバダ砂漠で行われた29回に渡る核実験、プラムボブ作戦の1つ、実験名フィズーの核爆発の映像が流れてこのミュージック・クリップは終わる。ミュージック・クリップにでてきたこれらのものがこの曲が政治色の強いものであることを証明していると思う。
当時の英国首相マーガレット・サッチャーだが彼女は核兵器の抑止力に肯定的な保守派の人間だった。曲中にある"People might need some tension to relax"という歌詞だが、これが「核という抑止力があるからこそ平和が維持できるのだ」というサッチャーのような核兵器肯定論者が好む意見を表していると解釈できる。The Jamはそんな彼女が大嫌いだったのだろう。ミュージック・クリップの映像と曲の歌詞にそれが如実に現れている。
当時のイギリスはSex Pistolsのエリザベス女王と政治を茶化したGod save the queeenなんて曲が売れてしまうような国だったが、この曲でThe Jamは初めてイギリスのチャートで1位を獲得した。ここまで強烈な政権批判の歌がチャート1位になるとは今では考えられないことかもしれない。しかしこんなことは今も昔も日本ではありえない話だなと羨ましくも思う。現代日本はテレビタレントが政権批判をすれば仕事を失うようなディストピアだ。
Some people might say my life is in a rutBut I'm quite happy with what I got
People might say that I should strive for more
But I'm so happy I can't see the point.
俺が同じことばかりしてると言う人がいるかもしれないが
現状にはすごく満足してるんだ
もっと頑張れって言う人もいるかもしれないが
俺は幸せすぎて何がいいたいのか理解できないんだよ
Somethings happening here today
A show of strength with your boy's brigade
And I'm so happy and you're so kind
You want more money, of course I don't mind
To buy nuclear textbooks for atomic crimes
今日ここでなにかが起きるぞ
お前らの少年隊(注1)と武力を誇示してやるんだ
俺は凄く幸せだしお前は凄く優しいだろ
お前はもっと金がほしいんだろうがもちろん俺はどうでもいい
原爆で罪を犯すために必要な核の教科書を買うための金だろ
And the public gets what the public wants
But I want nothing this society's got
I'm going underground (Going underground)
Well, if the brass bands play and feet start to pound
Going underground (Going underground)
Well let the boys all sing and the boys all shout for tomorrow
大衆は大衆が欲しがるものを手に入れる
俺は社会にあるものなんて欲しくない
俺はアンダーグラウンドになるんだ
ラッパ隊が演奏し歩みを進めるのなら
俺はアンダーグラウンドになるんだ
明日のために 少年たちに歌わせてやろう 少年たちに叫ばせてやろうじゃないか
Some people might get some pleasure out of hate
Me, I've enough already on my plate
People might need some tension to relax
Me, I'm too busy dodging between the flak
憎しみの中から快楽を得る人間がいるようだけど
俺はそんなことをしてるヒマがないんだ
リラックスするためには緊張が必要だっていう人がいるようだが
俺は攻撃を避けるのに忙しいんだよ
What you see is what you get
You've made your bed, you better lie in it
You choose your leaders and place your trust
As their lies wash you down and their promises rust
You'll see kidney machines replaced by rockets and guns
お前らは理解できているものしか見ようとしない
それでこのザマだ 自業自得だろ(注2)
お前たちは指導者を選びそいつらを信頼する
奴らの嘘に流され 約束したことは錆びていき
人工腎臓がロケット弾と銃に置き換えられていく
And the public wants what the public gets
But I don't get what this society wants
I'm going underground (Going underground)
Well, if the brass bands play and feet start to pound
Going underground (Going underground)
So let the boys all sing and the boys all shout for tomorrow
大衆は大衆が手にするものを欲する
でも俺はこの社会が欲しがるものなんてどうでもいい
俺はアンダーグラウンドになるんだ
ラッパ隊が演奏し歩みを進めるのなら
俺は地下に潜るぞ
明日のために少年たちに歌わせてやろう そして叫ばせてやろう
La-la-la-la
Oh, la-la-la-la
We talk and we talk until my head explodes
I turn on the news and my body froze
The braying sheep on my TV screen
Make this boy shout, make this boy scream
頭が爆発するまで喋りに喋り
ニュース番組を見てみたらゾッとした
テレビに写ってるのはやかましいだけの羊たち
少年に叫ばせろ その少年に金切り声を上げさせてくれ
Going underground
I'm going underground
I'm going underground
I'm going underground
主流派にはなれない
俺はアングラなままでいい
La-la-la-la
Oh ,la-la-la-la
Oh, la-la-la-la
Oh, la-la-la-la
Braying sheep on my TV screen
Make this boy shout, make this boy scream
テレビに写ってるのはやかましい癖に従順な奴ら
この少年に叫ばせろ 金切り声を上げさせろ
Going underground
Well, if the brass bands play and feet start to pound
Going underground (Going underground)
Well let the boys all sing and the boys all shout
メインストリームなんてどうでもいい
ラッパ隊が演奏しながら行進を始めるのなら
俺は反主流派だ
少年たちに歌わせろ 少年たちに叫ばせてやれ
Going underground
Well, if the brass bands play
And feet start to pound-pound-pound
地下に潜るぞ
もしラッパ隊が演奏をするなら
そして彼らが歩みを進めるのなら
Going underground
So let the boys all sing and the boys all shout for tomorrow
アンダーグラウンドでいい
だから明日のために少年たちに歌わせろ そして叫ばせろ
注1
Boys' Brigade=少年隊は1883年に設立されたイギリスのキリスト教系ボーイスカウトのようなもの。少年たちと共にキリスト教徒の王国を発展させ、従順、敬虔、規律、自尊心、そして真のキリスト教徒としての男らしさにつながるすべてのものを促進する団体である。曲中のbrass bandsはBoys' Brigadeのラッパ隊のことだろうし、この曲はそういう保守的でお利口なBoys' Brigadeに好きなことをやらせてやれと歌っているのだろう。
注2
make one's own bed and lie in it
自分が蒔いた種を刈り取る、自ら困難な状況を作り出してそれに耐えるという意味
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