2009年11月14日土曜日

ヴィムベンダース 天使の詩

ものすごく嫌いな映画がある。
ヴィムベンダースの天使の詩がそれである。
キザったらしいこの映画、天使が人間にしかできないことにあこがれて
天使であることをやめ、人間になるという筋書きだが、この天使が下界に降りてしたかったことが、タバコをすうこと、コーヒーを飲むこと、恋をすること、だった。この三つがすごくキザったらしくて、自分はこの映画が大嫌いなのだ。というのも、恋はまだしも自分はタバコも苦い飲み物も嫌いだから、そんなものに憧れる意味がさっぱりわからなかったからだ。

ちょっと考えてみた。天使が人間たちにしかできないからこそ憧れていたものがタバコ、コーヒー、東京ラブストーリー以外だったらどうだったろうかと。


下界に下りて恋をしようとしたけれど結局ふられてしまう元天使。
そこでふと思い出す、自分が天使でいたときに見たあの光景を。
チン毛が生えきらないにきびだらけの顔をした帰宅部の学ラン男子中学生が河原で犬の散歩をしている。彼はそこで風雨でボロボロになったエロ本を見つけるのだ。排泄をすませた飼い犬から主人の不審な行動をいぶかしみ向けられる怪訝なまなざしに一抹の罪悪感を感じつつ周りを一度見回しやはり誰もいないことを確認し、そのエロ本をそそくさと上着の中にしまいこむ彼。
帰宅後、与えられたばかりの物置小屋を改装して作られた自分の部屋で拾ったエロ本のカピカピのページを慎重に慎重に一ページずつ開いているにきび面。これぞ安物エロ雑誌、といった容姿のよろしくない女性の裸を、でも女の裸だからという理由で凝視し足りない"熱"を想像で補い、オナニーに耽っていた中学一年生。あの光景を思い出す元天使。次の瞬間、軽く握られた彼の利き腕が宙に円弧を描き、向かった先は言わずもがな、彼の股間の天使であったそうな。


これだったらこの映画を嫌いにならずに済んだはずだ。むしろ自分の好きな映画になっていたはず。残念だ。

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