2007年11月30日金曜日

粉瘤治療

三年ほど前から粉瘤(ふんりゅう)という肌色の瘤が私の首筋にできていた。
先日これを手術で取り除いたので、ちょっと感想を書いてみる。

三年前といえば、丁度ドリフターズのいかりや長介が頸部の癌で死んだ時期である。そのせいで首筋にできた瘤が本気で恐ろしく感じられ、皮膚科に診察を受けに飛んでいった。そのとき初めて粉瘤という病名を医師から教わった。そして悪性転移することは滅多にないので放置しておいてもよいと言われた。といっても首筋に、目立たないとはいえ瘤があるのは気分のいいものではない。治せるモノならさっさと治してしまいたかった、のだが瘤を切除するためには手術が必要らしく、切開→縫合→消毒→抜糸、といちいち通院に日数を食う作業が必要、との説明をうけたため面倒になって診断だけ受けてそこから三年ほど放っておいた。

しかし最近、首とは別に、一年ほど前、新たにニキビをこじらせて出来てしまった耳の裏のふんりゅうがどうやら膿んでいるらしく痛みだしたのでどうせなら首のそれとあわせて二つ一気に治してしまおうということで改めて病院に足を運んだ。久しぶりに皮膚科で診察を受け前回と同じような説明を受ける。そして肝心の耳の方の瘤であるが、抗生物質の飲み薬で治るかもしれないとのこと。ソレを聞いてどうにも拍子抜けしてしまい、手間もかかる手術を受けるのをやめようかと考え直していると、その医師から、今腕のいい医師がその病院の形成外科で診察をおこなっている、その人にかかれば手術もなく、瘤に穴を開け中身を押し出すだけで患部の切開もなく済む可能性がある、と聞かされる。それならばと紹介状をもらい皮膚科から形成外科へ。

長い間待たされた後やっと診察室へ。当方手術なぞ生まれてこの方受けたことがないし、何よりも術後の通院が面倒なので手術ナシで済むことを願ってその名医とやらの診断を受けた。関西弁の恰幅のいい初老の医師である。しかしながら、彼に触診をうけ、話を聞いているとその瘤がギリギリ簡易手術では済まない大きさになってしまっているようで、結局手術室で手術をおこなうことになってしまった。来週手術室をとってやるか、と言われ、そりゃ飛び込みで手術を受けられるほど世の中甘くないな、また通院か、面倒だな、などと考えながらがっかりしていると、看護婦から一番小さな手術室が開いていると聞かされる。こりゃラッキー、と一時間後に手術を受けることに同意した。

その会話の最中にこの手術は別にたいしたもんじゃない、との説明をうけたので冗談半分に「先生の腕はどんなもんなんですか?」と聞いてみると看護婦に、この人は凄い人だから大丈夫、と強調された。医者にも病気にも疎い自分にはよくわからなかったがなんでもその人、現東大形成外科の教授らしい。
そして患部の写真をデジカメでばしゃばしゃ撮られた。デジカメを使う医者が珍しかったし、この人はPC、インターネットにも詳しい人なのかなと思い、ネットでこの病気のことを調べてきた、と話を振ってみると、「wikipediaで?」と聞かれる。確かにwikiにもその病気の説明はあるし、ついでに「おしえて!goo」でも「Yahoo!知恵袋」にも病気の説明はあったのだ。mixiにもありました、と言うとその人はmixiも知っているらしく、更に将来、医者もネット上での医者の腕のクチコミ、評判を気にする時代が来るだろうと言われた。それを聞いて、年を食っている割にはなかなか時代に目配せしている人だな、という印象を受ける。まあ東大の教授やってるくらいの人ならそれくらい当然か。
とまあ、ぱっと話を聞いてみて伺えた人となりからすると私の初手術(笑)を任せても大丈夫そうな人だと思えかなり安心する。いい加減な医者は本当にいい加減だしね。

一時間を適当に近くの図書館で潰し、病院に戻り体温と血圧を測り、いざ独特の薬品臭漂う手術専用棟へ。エレベーターを降りるとほぼ同時に悲鳴が聞こえてくる。文字通り悲鳴なんですこれが。手術が怖くて泣きわめいている子供か、もしくは術後のショックで動揺している患者かなにかか、とビックリして耳をそばだてていると自分の親くらいのおばさんと、息子と思しき付添人が部屋からでてくるではないか。どうやら父親の様態が芳しくない様子。コレを見て、初手術ということもあってかなり動揺してしまう私。「自分もそんな風になるのか?」と。

看護婦の指示で簡易着替え室で手術着に着替え待合室で呼び出しを待つ。数分後、手術室へ案内され辺りが一層薬品臭くなる。心電図のコードやなんかを体に取り付けられ、手術台に寝ていると、「もしかして手術が失敗して死ぬのかな」なぞとくだらないことを考え出してしまう私。そこへ先ほどの関西弁の医師と見学に来たらしい内科の医師が来る。一層緊張感が高まる。3人で世間話的なことをしていると、その内科の医師に、「この人(形成外科医)は凄い」と言われる。そうこうしているうちに局部麻酔をされる。注射でちくりちくりと。別に痛くはない。すると急に頭がぼーっとしだし、同時に緊張もしなくなってしまった。「この先生はスゲエから手術台高いぜ」「お礼になんかもってこいよ」だのなんだの、見学に来た内科の医師が冗談をぺらぺらしゃべっている。そのうち学会に発表する論文がどうたら二人で世間話をしだした。そんなことより手術に集中しろよ、と思ったが、まあそれくらいどうってことない手術なんだろうと思い麻酔にまどろみながら手術を受けていた。

眼に覆いをされなかったので首元でちょこちょこやっている様が、見ようと思えば見れたのだがさすがにそんな度胸はなかった。患部を少し切り、中身の脂肪を搾り取り、病因の袋とかいうのを取り出して、首の手術はあっという間に終わってしまった。ほとんど血もでず完了。さすがは名医、と思っては見たが、私は医術に詳しいわけでもないので、漠然とそう思ってみただけ。
更に耳の手術へ移る。術中暇なので医師と話をしていると、その形成外科医は形成手術の他にも性転換手術を行っている人ということがわかる。面白いので芸能人の美容整形手術はしたことはあるのか、その芸能人は誰か、性転換手術はいくらかかるのか、と質問をしてみた。芸能人の名前は守秘義務があるから教えられないがしたことはあると言われた。性転換手術は一千万はかかると言われた。更に性転換手術について聞かされたが、男から女にするのは簡単だが、女から男にするのは難しいらしい。驚いたのがその人工男性器は勃起もするし、射精もする、生殖行為も理論上は可能らしい。別に私は性同一性障害ではないので、すげえなあ、くらいの感想しかなかったが笑。そうこうするうちに耳の瘤の手術も終わった。麻酔のせいで術後一時間くらいぼーっとしていたが手術は無事に成功した。肝心の費用が、四万円程度、もちろん保険適応可なので実際に払った金額は一万二千円程度だった。



とまあ、長々と書きましたが、今回は手術よりも普段接点のない医者、それも話し好きそうな医者とぼけーっと世間ができたことが重要だったのかもしらんです。ちなみにその形成外科医は光嶋勲って人でした。少なくとも悪い、不真面目な医者ではなさそうでした。以上、粉瘤手術談でした。


ちなみにこれは術後の首筋の写真。消毒のための通院を二回し、術後一週後に抜糸をした、そのあとのもの。赤くニキビ跡のようになっている。ほとんど目立たない。ちなみに耳のほうは膿んでいたため瘤を切除できず結局完治しなかった。
(手術前の瘤の写真も撮っておけばよかったなぁ。)







「粉瘤 写真」で検索してくる人が多いようです。なので粉瘤でふざけてる外人の動画をyoutubeでみつけたのでリンクをはっておきます。背中にできた粉瘤にニキビだと思ってふざけてナイフで穴を開けて中身をしぼりだしています。ちょっとグロいので注意。こんなことをしても瘤は無くならないです。病因であるところの瘤の中に出来た袋とやらを瘤をメスで切開してとりださないと瘤は永遠に再生され続けます。そしてどんどん大きくなっていきます。くれぐれも真似などしないように。



あとこっちも。こっちは一応手術してるみたいです。中身を絞り出して袋をとってるようなところもみれます。動画では腫瘍っていってますね。
ただ滅茶苦茶グロイので注意。 年齢承認アリ。



さすがに自分の瘤はここまで大きくなかったですねぇ。十円玉くらいの大きさだったかな。