2016年6月20日月曜日

Wasteland 2 Director's Cut (PC板) やりはじめたのでその感想

Falloutの元ネタになったとかいうWastelandの2がでたというのでずっとやってみたかったのだがようやくやれた。このゲームはBrian Fargo(ブライアン・ファーゴ)が作ったらしいが、この人は初代Wastelandと初代Falloutの制作にかかわっている。初代のWastelandは1988年に作られたもので、
そこから26年後の2014年にWasteland2が発表されたことになるが、26年経って続編がでるということは初代はかなり人気があったのだろうなと思ったし、26年間どのくらいアイデアを練ってきたのだろうかと期待していた。

ゲームの舞台は核戦争後のアメリカアリゾナ州となっている。核で焼かれた世界はそこら中に放射能が滞留していて、それが壁となって世界を分断している、みたいな設定になっている。アリゾナの砂漠で暮らす人間たちはこの状況を見て自分たちは最後の生き残りで放射能の壁の先には生きている人間は誰一人いないと思っている。この辺の絶望感が良いし、ゲーム設定を利用してうまく閉鎖空間を作り出しているなあと感じた。
そのアリゾナにはレッドスコーピオンやレッカーズといったならず者の集団がいて、それに敵対するする正義の集団(いちおう)、デザートレンジャーがいる。一般人はそういった力を持つ集団に翻弄されながら放射能汚染された世界で生活している、と言った感じとなっている。
主人公たちはそのアリゾナを守っているデザートレンジャーに入隊する。そこで杖をついた隊長のGeneral Vargasからなにものかによって殺されたレンジャー、Aceの死亡原因を探れと命令されるところからゲームが始まる。基本的にこのAceの話がメインストーリーとなっている。ただ最初からいろいろなところにいけるのでメインストーリーを無視して別の街を発見してそこで発生するイベントを好き勝手やっても構わない感じにはなっている。この辺の自由度はFallout1、2に似ている。

ゲームをやっているとやはりFallout的な小ネタがちょこちょこでてくる。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という本があったり、「ソイレント・グリーンは人間だった!」というセリフをつぶやく子供がいたりマッドマックスのインターセプターと同型の車が廃車になって転がっていたりする。あとは鉄道を使って人々に移動手段を提供して生活しているRailroad Nomadという部族がChoo choo charlieやJohn Henryの話をしだしたり、ゲームオタクがまったく普及しなかったゲームハード機CD-iを探していたりと現実とつながっている感じが演出されている。
それとFalloutでもそうだったが、ネイティブアメリカンがちょこちょこでてきてスピリチュアルなことをつぶやく。ブライアンファーゴはネイティブアメリカンが好きらしい。
鉄道の貨物車の中で暮らすRailload Nomadがまんまネイティブアメリカンな人たちなのだが、この人達が鉄道をめぐって部族対立をしている。レッドスコーピオンが支配するHappy Valleyではレッドスコーピオンが豚所有税や「街でうるさくした」税などを勝手につくりだして人々を苦しめている。このへんの世界観の演出はとても良い。ポストアポカリプスな演出がよくできている。
一応このゲームは3Dゲームとなっているのでそのビジュアルイメージだけでも世界観の説明にはなっているとは思うが、それだけでは足りないのかそこら中でテキスト表示される。そのテキストは歩いているだけでも主人公たちが踏み入った場所の説明のためにも表示されるし、人と会話すれば何個も見慣れないフレーズが飛び出してきて、さらにそれらのフレーズが赤や緑色で強調表示され、会話の中でその語句が説明される選択肢が現れる。そこら辺に転がっているオブジェクトを調べてもテキストが表示される。重機で押しつぶされた死体や、レイダーに首を切り落とされた死体を調べればその都度説明の文章が表示される。他にも人糞や豚の糞を調べた時にも表示されるテキストがわざわざ用意されているのだが、そういうところがユニークで良い。まあとにかく文章量は膨大である。

このゲームのステータスで重要なものはおおまかに3つある。
ゲーム中ほとんど増減しない基本能力値のAttributeとレベルが上がるごとに上昇させられるSkillとそのSkill値によって得られるPerkという能力の3つ。
AttributeはFalloutのSpecial(Strength,Perception,Endurance,Charisma,Intelligence,Agility,Luck)のように基本となる能力値。
それらはCoorination,Luck,Awareness,Strength,Speed,Intelligence,Charismaという項目となっている。これらの能力値は戦闘中の行動回数に関係するアクションポイント数や攻撃命中率回避率、クリティカル発生率、経験値取得量や味方の命中率を上昇させ敵の命中率を低下させるリーダーシップというスキルの影響範囲に関わってくる。Strengthなどは重たいものを装備するときにある程度必要になってくるし、特別な武器を装備するためには特定のアトリビュート項目がある程度ないとダメになっている。この基本能力値アトリビュートの設定は結構重要となってくるので適当に設定するのはまずい。アトリビュートはレベルが10あがるごとに1増やせるがこのゲームの最大レベルは50らしいので最初に設定したアトリビュート値から大きく変化させることはできない。特に重要な項目はIntelligenceの項目。この能力はレベルが上がるともらえるSkillポイントの量に関わってくる。
そのスキルポイントで上昇させるスキルはハンドガンや治療、鍵開け、探索能力などなどかなりの数がある。ハンドガンスキルなどの戦闘用のスキルを伸ばすとその武器の命中率とクリティカル発生率が上昇する。これらの戦闘用スキルの数値は上げておかないとほとんど敵に攻撃が当たらないのである程度伸ばさないと話にならない。
そしてスキル値をある程度伸ばすとPerkと呼ばれる特別な能力を使えるようになる。Perkは医療スキルのPerkなら回復量が増えたり、前述したリーダーシップスキルのPerkならならば敵の攻撃命中率を下げたりする。スキルはレベルがあがるごとにIntelligence値に応じて最大5ポイントまでもらえる。Perkは4レベルあがるごとに一つ選べるようになっている。

味方にできるキャラの数は最大7人まで。7人と聞くとかなりの大人数となるが、これだけいても戦闘は結構難しい。戦闘はターン制。ゲームシステム的にはFallout、Fallout2にかなり似ていている。
その戦闘はゼロ距離攻撃の鈍器と刃物と拳、近距離射撃のハンドガン、連射可能なサブマシンガン、範囲攻撃ができるショットガン、中距離攻撃ができるアサルトライフル、遠距離攻撃ができるスナイパーライフル、範囲攻撃+連射が可能な重火器、使い切りの爆弾とロケット砲攻撃などを使ってやる。更に前述の医療スキルがあれば戦闘中にHPを回復させたり気絶出血したキャラを治療することもできる。戦闘で気絶+出血したキャラはHPがどんどん減っていきほっとくとそのまま死んでしまうのでヒーラーキャラは重要。死んだキャラはもちろん生き返らない。
そして戦闘を開始する前に味方キャラの配置を細かく設定できる。これがかなり面白い。個別のキャラを操作してたとえばスナイパーキャラなら高台に陣取らせたりすると攻撃命中率が上昇するし、敵陣の正面と裏手にキャラを置いて挟み撃ちにしたりもできるし、戦闘開始前に味方を遮蔽物の前に陣取らせておけば敵の攻撃を回避しやすくなる。しかしキャラ配置画面みたいな親切なものはないので、キャラクターを移動させている時に敵に見つかればそのまま強制的に戦闘が開始される。(キャラ配置画面なんてのはゲームが簡単になりすぎるからない方がいいが。)中央突破で馬鹿正直に敵と戦闘を開始することもできるが戦闘を始める前に地形確認して戦略を練っておくと戦闘難易度がまったく違ってくる。戦略を練らずに戦えばボコボコにやられてしまうような戦力差があっても戦略を練れば無傷で勝利することも可能になる。例えば何も考えずに戦闘開始すれば紙装甲の遠距離射撃専門のスナイパーの戦闘開始場所は敵の攻撃をひきつけてタンクの役割をする白兵キャラのそれとおなじになるわけだから当然不利な状況になる。
それとダイナマイトなどの投擲武器は弧を描いて着弾するので遮蔽物をある程度無視して攻撃できるし、ロケットランチャーなどの武器は着弾すると爆発し広範囲攻撃ができる。これらの武器は値段が高いがかなりの威力があり使い勝手が良い。敵陣にロケットランチャーを打ち込んでから戦闘開始、みたいなことをすればかなり有利に戦闘を始めることができる。

長々と書いたけどだいたいこんな感じのゲーム。初代Fallout、Fallout2にかなり似ているが戦闘に関して言えばあのゲームよりもかなり戦略要素が増している。白兵、近距離~遠距離射撃と攻撃バリエーションがかなりあり、戦闘前のキャラ配置を考えたりとやれることが多い。このゲームは難易度を選べるのでその設定によっては適当にやってもクリアできる程度の難易度にはなるのかもしれないが、とりあえず自分は最高難易度でやっている。最高難易度だと適当にやっていてはすぐに全滅する。ただ戦略を練れば戦闘がかなり楽になることがかなりある、この辺の戦闘難易度の調整が絶妙でかなり楽しい。例えば中距離射撃が可能で近距離攻撃もできる上にHPと防御陸が高いロボットを7体相手にしなくてはいけなくなったときがあった。普通に戦ってもHPが高いのでいくら攻撃してもまったく倒せない。そのうち射撃でやられ近距離で殴られて全滅してしまった。何度やってもこんな感じで戦力差がありすぎて普通にやっても勝てない。なので先制攻撃で敵陣のどまんなかにロケットランチャーを打ち込んでやったがこれで敵のHPをある程度減らした状態で戦闘を始められた。それでも戦闘はかなり厳しいものになったがなんとか勝てた。あとは正面から行くと敵陣の後方に陣取っているスナイパーや重火器装備の敵に遠距離攻撃をされてまったく戦闘にならないといった時があったが、この時は敵陣の周りにある地雷原を抜けて敵陣の裏側に回って遠距離攻撃する敵を先に潰してあとからのろのろと歩いてくる白兵をボコボコにして勝利した、みたいなこともあった。こんな感じで、普通に戦うと厳しい、勝てないといった状況もなんとかなるようなゲームシステムになっていて、戦闘に勝つまでのトライアンドエラーの過程がかなり面白いし、戦闘をする地形も様々なので戦闘が単調にならないので飽きが来ない。まあトライアンドエラーといっても何十回も死ぬとかそこまでひどくはない。一回の戦闘が5~15分くらいかかる。でも普通に戦ったら負けるとわかるのは戦闘開始後数分といったところ。なので勝てないと思ったらすぐにやりなおせばいい。更に敵味方の戦闘アニメーションはシンプルでテンポはそこまで悪くないし、やりなおしは苦痛にならない。例えば一話クリアするのに一時間以上はかかるようなスーパーロボット大戦のような戦略ゲーム比べたらさくさくできるのではないかと思う。

と言った感じでWasteland2はポストアポカリプスなゲームの世界観もいいが、戦闘システムも良く出来てます。面白いゲームです。今度日本語版もでるらしいです。難しくてやりごたえのあるゲームを求めてる人にはかなりおすすめです。