2008年11月26日水曜日

伊丹十三のタンポポ

検索していたらこんなものをみつけてしまった。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1034896

伊丹十三監督作、タンポポのエロシーンとか。

男女が王様ゲームの罰ゲームとかなら氷とかでやるんだろうが、この映画では氷の変わりに生卵を何度も何度も口移しをする。 役所広司と 黒田福美が。えぐい。エロイというか気持ち悪くなった。アート過ぎる感じもした。

もうひとつのシーンは 同じく役所広司が、今度の女優は洞口依子であるが、彼女から生牡蠣をもらって食べようとするが、生牡蠣の殻で口を切ってしまい、それをみた洞口が掌から牡蠣を食べるように促す。掌に唇をよせると、さっき切った唇からにじみでた血が牡蠣に染み付く。それをみて洞口が一言くすぐったい、と言う。そして彼の口についた血を舐める。
これは言うまでもなく、アレやアレを暗示したシーンだろうが、エロかった。


とまあこんな映画のシーンの文章描写なんて肝心の映像をみてもらえば無用の長物なのであるが、それより今回重要なのはこのニコニコ動画にあがった映画タンポポの動画についたコメントであった。

「家族全員で見てしまったよw」
「家族で見て気まずいシーンきたw」

とある。確かに伊丹十三くらいの監督の映画なら、お茶の間に家族揃ってテレビを見れる時間帯に放送されるかもしれない。そのお茶の間におかれたブラウン管にこの映画のピンクな場面が大写しになったときの家族のさまを想像したら笑えてきた。

父親はちゃぶ台に放ってある夕刊にあわてて手を伸ばし、顔を覆うように広げ黙ってそれを読むフリをし画面を凝視しないようにする。母親は、「まあなんて助平なシーンなのかしら」と性に厳しい母親の体裁を保つ台詞の一つや二つ言うかもしれない。片や年頃の姉と弟は興味津々に画面を見つめているに違いない。姉は将来の恋人と自分を画面の役者達に投影し、弟は明日学校で同級生とこの映画について語り合おうと考えている。いやこれはきっとまだ生ぬるい。下手をすれば父親は勃起、弟は、これまた覚えたての勃起である。母親も姉も、ぬれているに違いない。するとこれはどうだろう。おぞましいにもほどがあるではないか。一つ屋根の下、血のつながった家族が揃って欲情しているその光景。恋人同士や友達同士で悪乗り程度で見る程度ならまだいいのだが、それが家族になってしまうと、どうにもそうはいかない。恐ろしい。

とニコニコ動画のコメントを読んでいて想像してしまった絵でした。
ところでタンポポという映画はラーメン屋をたてなおす話だとかそういうあらすじをどこかで読んだ程度で肝心の映画はみていなかった自分であるが、その映画のタイトルからして、宮本信子が貧乏ながらも日々溌剌と愛想良くラーメン屋の店員かなんかをやって、そこに集まる常連さんとの日常的な掛け合いを描いた、みたいな60~70年代の邦画にありそうなハートウォーミングな、小津安二郎の秋刀魚の味のような映画を想像していたのだが、それとあまりにもこのエロシーンが食い違っていたので驚いた。というか思えば、肝心の伊丹十三の映画を一本もまともに見ていないことこそが、こういう間違った想像をしてしまう原因なんだろうな。伊丹サーティーン恐るべし。