Manic Street Preachers のMotorcycle Emptinessを和訳した。
この曲が発表されたのは20年以上前。曲のPVには渋谷センター街、神奈川県みなとみらいにある巨大観覧車、
詞はS.E. Hintonが1975に発表したRumble Fishというバイカーのギャングカルチャーを題材にした小説から着想を得たらしい。
作詞家はこの小説を、資本主義が提供する消費者のライフスタイルの虚しさを批判していて、社会が、若者が自分たちの言いなりになることを望んでいるさまを描いたものだと解釈したらしい。この曲のフレーズのいくつかは、バンドの作詞家でありベーシストのNicky Wireの兄弟であるウェールズ人の詩人、Patrick Jonesの"Neon Loneliness"という詩から拝借したものらしい。
この曲のPVの映像が綺麗だ。街を染め上げる黄色いネオンが美しい。まあこんなに黄色くなるわけ無いから何かフィルターをかけているのだろうけど。物寂しい宵の濃紺の空を明るく照らしだす青の補色の黄色い光を持ったネオンライト。しかしネオンライトはそこにある孤独を誤魔化すだけの存在でしかないという。補色が交じり合うと無彩色になるのだが、濃紺の空と黄色いネオンライトが交じり合うと味気ない灰色になるわけだ。まさしくネオンロンリーネスと形容するのにぴったりの風景だ。Under neon loneliness motorcycle emptinessというフレーズは訳さないほうがいいのだろうけど、雰囲気としては物質主義世界の中にある、孤独のネオンに照らされて走る空虚な自動二輪車という感じなのだろうか。日本語にするとかっこ悪いけどそんな感じなのかなと。まあこのフレーズがとにかく格好いい曲だ。大都市の暗闇を照らす綺羅びやかなネオンライトこそが満たされることのない人間の物欲を中心に動く物質主義世界の孤独を象徴しているという皮肉が読み取れる。かっこいい。
Culture sucks down words
Itemise loathing and feed yourself smiles
Organise your safe tribal war
Hurt maim kill and enslave the ghetto
文化が言葉を飲み込んでいく
憎しみを項目分けして みんなに笑顔をくれる
安全な部族間の対立を煽り
ゲットーを傷つけ、不具にし、殺して隷属させる
Each day living out a lie
Life sold cheaply forever, ever, ever
ウソをつきながら日々を過ごし
人生は永久に安売りされていく
Under neon loneliness motorcycle emptiness
孤独なネオンに照らされて 空虚なバイクが走る
Life lies a slow suicide
Orthodox dreams and symbolic myths
From feudal serf to spender
This wonderful world of purchase power
ゆっくりと自殺をするような人生
誰もが認める夢を抱き 象徴的な神話をみる
封建制の奴隷から始まり散財をする人間となった
購買力が創りだした素晴らしい世界
Just like lungs sucking on air
Survivals natural as sorrow, sorrow, sorrow
肺が空気を吸い込むように
生きていくことは悲しみと同じように自然なものだ
Under neon loneliness motorcycle emptiness
All we want from you are the kicks you've given us
みんなが欲しているものは彼らがくれた刺激だけ
Under neon loneliness motorcycle emptiness
Drive away and it's the same
Everywhere death row, everyone's a victim
Your joys are counterfeit
This happiness corrupt political shit
逃げたって何も変わらない
死刑囚監房はそこらじゅうにあって みんな被害者だ
あなたの喜びはニセモノで
この幸せは腐敗した政治家の大嘘だ
Living life like a comatose
Ego loaded and swallow, swallow, swallow
昏睡状態でいるように生きている
うぬぼれは高まり 飲み込んでいく
補足
Organise your safe tribal war
Hurt maim kill and enslave the ghetto
というのがいまいちつかめないけど、多分 雑誌がいうオシャレとダサいの基準で言い争う人達やどこかに根付いた他人の文化を商売に使うこととか、そういうことだと思う
Life lies a slow suicide
というのもわからなかったけど、SVCとして解釈したけどあってるかわかりません
Lifeが~という状態でいる と訳
All we want from you are the kicks you've given us
ってーのは物資主義社会がつくりだす刺激とそれを求める消費者ということだろう
巷に出回っているこの歌詞の訳では kicksを何故か仕返し、とか復讐と訳しているのだが誤訳だろう。薬関連の隠語になってるkickを訳すなら刺激だと思ったがなぜそういう訳にしたのかがわからない。CDの歌詞カードの翻訳がそうなっているんだろうか。
この歌が好きで、そしてこの翻訳やブログの内容が好きだったので、ツイッターでこのページのリンクを使わせていただきました。問題があれば削除をするので、その際はご連絡下さい。どうぞよろしくお願いいたします。https://twitter.com/ladybugkong1221/status/808952275339087873
返信削除どうぞお使い下さい。多分CDについてる日本語訳って少しおかしいと思うんですけど。Kicksが刺激と訳されてないとか、そんなことないですかね。
削除リンクしていただいて問題ありません。いい曲ですから曲の存在をみんなに知ってもらいたいですね。
削除初めまして。この曲(マニックス自体も)に関してとても興味深く、素晴らしい和訳、評だと感じました。ツイッターでこのページをリンクさせて頂きました。何か御座いましたら削除など致しますのでご連絡下さいませ。何卒宜しくお願い申しあげます。
返信削除https://twitter.com/are_2_turear/status/932796486684901377
ghetto
返信削除は、かつてヨーロッパにあったユダヤ人居住区域のことだよ。辞書は引こうね。